特撮ヒーロー番組においては、主な視聴層である子供たちにとって「身近な恐怖」を感じさせるための演出として子供たちを誘拐するという作戦が行なわれることが多い。幼稚園バスジャックもその中の一つである。子供たちを安全に輸送するという役目を持ったバスが、ある瞬間突然子供たちを悪夢の世界へと連れ去る巨大な凶器へと変身するという恐怖は番組を盛り上げ、震動する車内で泣きじゃくる園児を映せば容易に悲惨な感じを出すことができる。また『仮面ライダーBlack』第37話のように、場合によってはカーチェイスの趣向を盛り込むこともできるなど、非常に使い勝手がよく好んで用いられる作戦である。
乗っ取る手段としては、普通のバスジャックのようにバスに乗り込み運転手を脅迫することもあるが、怪人を運転手そっくりに化けさせてバスに乗り込ませたり(『仮面ライダーX』第5話)、またバスごと磁石で宙に持ち上げるという豪快な手段がとられることもある(『宇宙刑事シャイダー』第19話)。
目的
悪の組織が幼稚園バスをジャックする目的として、以下のようなものが挙げられる。
人質
これが最も多い。
『大戦隊ゴーグルファイブ』第42話のようにヒーローが園児たちと知り合いであれば一層効果的であるが、一面識もない場合でもだからといって見捨てるわけにもいかず、ヒーローの動きを制限させるのにかなり有効な作戦といえる。
『太陽戦隊サンバルカン』第3話では総理大臣の孫の乗ったバスが襲われたが、別に要人の家族が乗っていなくても同様の効果があったと思われる。(なおこの話自体は幼稚園バスではなく小学校のスクールバスである。)
人材
『宇宙刑事シャイダー』第11話で不思議界フーマは人間の子供たちをさらい、フーマに都合のいい教育を受けさせた後に人間社会に送り返し、人間社会を支配しようという遠大な計画を立てた。成熟途上にある子供の肉体や頭脳の利用価値は、ヒーロー番組においてはたびたび使われるものである。
その他
番組に出てくる「敵」は必ずしも世界征服をもくろんでいるわけではなく、ただの犯罪者のこともある。そういう連中にとっては、幼稚園バスジャックは身の丈にあった行為である(『特捜エクシードラフト』第1話、『電脳警察サイバーコップ』第7話など)。
問題点
アクションシーンの撮影は、市街地よりも人里離れた山奥や採石場のほうがやりやすいが、そのために幼稚園の通園路などあるはずもない山奥でバスジャックが行なわれるなどというシーンを撮ってしまっては、視聴者をしらけさせる結果になりかねない。(『超獣戦隊ライブマン』第27話はこのことを逆に利用した。)
この問題を解消するために、日常の通園バスではなく遠足という設定を持ち込むこともある。
「せこい」作戦?
「世界征服をたくらんでいるはずの悪の組織が、なぜ幼稚園バスジャックなどという『せこい』作戦をするのか?」などと、特撮ヒーロー番組を幼稚と馬鹿にする人たちによって槍玉にあげられることの多い作戦でもある。
たとえば中島らもが朝日新聞に連載していた「明るい悩み相談室」に、「ショッカーはなぜセコイのか」という投書が寄せられたことがあった(単行本『中島らものますます明るい悩み相談室』に収録)。また『新明解国語辞典 第五版』(三省堂)の「せこい」の用例に、この投書を元にしたとしか思えない例文が収録されたこともあった。
しかし上に述べたように、劇中ではそれなりに目的に添った合理的な作戦として描かれており、別に特におかしな作戦というわけではない。
もともとテレビドラマのストーリーというものは勢い優先で作られ、整合性は犠牲にされることが多く、たとえば地球を侵略しにやってきた宇宙人がなぜか日本ばかりを襲い、それが「お約束」ということで済まされたりすることが揶揄の対象になることがある。幼稚園バスジャックもまたそのようなものに違いないという先入観ゆえに今まで批判にさらされてきたのは間違いのないところではあろう。あるいは「どうせ子供番組なんだから」という心理が働いていた可能性も考えられるが、テレビドラマにおいてストーリーの整合性が軽んじられるのは子供向けであろうが大人向けであろうが大した違いはない。
ただし21世紀に入ってから国や国際武装勢力によって人間がさらわれるという行為におおぜいの日本国民の関心が集まるようになり、である以上「要人の家族でもないのに子供なんかさらっても意味ないだろう」などという見当違いの批判が今後も続くのかどうか不明である。
なお先の投書で「ショッカー」(仮面ライダーに登場する悪の組織)とあるが、悪の組織と聞いて誰もが思い浮かべるこの組織は、幼稚園バスを襲撃したことは一度もない
乗っ取る手段としては、普通のバスジャックのようにバスに乗り込み運転手を脅迫することもあるが、怪人を運転手そっくりに化けさせてバスに乗り込ませたり(『仮面ライダーX』第5話)、またバスごと磁石で宙に持ち上げるという豪快な手段がとられることもある(『宇宙刑事シャイダー』第19話)。
目的
悪の組織が幼稚園バスをジャックする目的として、以下のようなものが挙げられる。
人質
これが最も多い。
『大戦隊ゴーグルファイブ』第42話のようにヒーローが園児たちと知り合いであれば一層効果的であるが、一面識もない場合でもだからといって見捨てるわけにもいかず、ヒーローの動きを制限させるのにかなり有効な作戦といえる。
『太陽戦隊サンバルカン』第3話では総理大臣の孫の乗ったバスが襲われたが、別に要人の家族が乗っていなくても同様の効果があったと思われる。(なおこの話自体は幼稚園バスではなく小学校のスクールバスである。)
人材
『宇宙刑事シャイダー』第11話で不思議界フーマは人間の子供たちをさらい、フーマに都合のいい教育を受けさせた後に人間社会に送り返し、人間社会を支配しようという遠大な計画を立てた。成熟途上にある子供の肉体や頭脳の利用価値は、ヒーロー番組においてはたびたび使われるものである。
その他
番組に出てくる「敵」は必ずしも世界征服をもくろんでいるわけではなく、ただの犯罪者のこともある。そういう連中にとっては、幼稚園バスジャックは身の丈にあった行為である(『特捜エクシードラフト』第1話、『電脳警察サイバーコップ』第7話など)。
問題点
アクションシーンの撮影は、市街地よりも人里離れた山奥や採石場のほうがやりやすいが、そのために幼稚園の通園路などあるはずもない山奥でバスジャックが行なわれるなどというシーンを撮ってしまっては、視聴者をしらけさせる結果になりかねない。(『超獣戦隊ライブマン』第27話はこのことを逆に利用した。)
この問題を解消するために、日常の通園バスではなく遠足という設定を持ち込むこともある。
「せこい」作戦?
「世界征服をたくらんでいるはずの悪の組織が、なぜ幼稚園バスジャックなどという『せこい』作戦をするのか?」などと、特撮ヒーロー番組を幼稚と馬鹿にする人たちによって槍玉にあげられることの多い作戦でもある。
たとえば中島らもが朝日新聞に連載していた「明るい悩み相談室」に、「ショッカーはなぜセコイのか」という投書が寄せられたことがあった(単行本『中島らものますます明るい悩み相談室』に収録)。また『新明解国語辞典 第五版』(三省堂)の「せこい」の用例に、この投書を元にしたとしか思えない例文が収録されたこともあった。
しかし上に述べたように、劇中ではそれなりに目的に添った合理的な作戦として描かれており、別に特におかしな作戦というわけではない。
もともとテレビドラマのストーリーというものは勢い優先で作られ、整合性は犠牲にされることが多く、たとえば地球を侵略しにやってきた宇宙人がなぜか日本ばかりを襲い、それが「お約束」ということで済まされたりすることが揶揄の対象になることがある。幼稚園バスジャックもまたそのようなものに違いないという先入観ゆえに今まで批判にさらされてきたのは間違いのないところではあろう。あるいは「どうせ子供番組なんだから」という心理が働いていた可能性も考えられるが、テレビドラマにおいてストーリーの整合性が軽んじられるのは子供向けであろうが大人向けであろうが大した違いはない。
ただし21世紀に入ってから国や国際武装勢力によって人間がさらわれるという行為におおぜいの日本国民の関心が集まるようになり、である以上「要人の家族でもないのに子供なんかさらっても意味ないだろう」などという見当違いの批判が今後も続くのかどうか不明である。
なお先の投書で「ショッカー」(仮面ライダーに登場する悪の組織)とあるが、悪の組織と聞いて誰もが思い浮かべるこの組織は、幼稚園バスを襲撃したことは一度もない
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