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2024/05/19 08:29 |
猫ひっかき病
リンパ節炎を主体とした感染症。人獣共通感染症の一つである。

原因菌は、リケッチアに属するBartonella henselaeである。猫に対しては全く病原性はないが、長い間、保菌状態になっており、18ヶ月以上も感染が続くこともある。猫から猫への菌の伝搬にはネコノミが関与している。猫の血を吸って感染したネコノミは、体内で菌を増殖させ糞便として排泄するが、それが猫の歯あるいは爪に付着する。そしてその猫に咬まれたり引っかかれたりすることによって人間の傷に感染すると考えられる。日本では猫の9〜15%が菌を保有している。喧嘩したり他の猫と接触の多い雄や野良猫に多い傾向がある。また、1〜3歳の若い猫の保菌率が高いという報告もある。犬からも抗体が検出され、犬からの感染報告がある。

その他、頻度は少ないが、感染猫の血液を吸ったネコノミが人間を刺して感染するという場合もある。


症状
猫にひっかかれた傷が10日後に赤く腫れる。典型的には、手の傷であれば腋窩リンパ節が、足の傷なら鼠径リンパ節が腫脹する。しかしながら、顔に傷がなくとも、頚部リンパ節の腫脹がみられることも稀ではない。

腫脹したリンパ節は多くの場合痛みを伴い、体表に近いリンパ節腫張では皮膚の発赤や熱感を伴うこともある。ほとんどの人で発熱が長く続き、全身倦怠、関節痛、嘔気等も出現する。特に治療を行わなくても、自然に治癒することも多い。しかし治癒するまでに数週間、場合によっては数ヶ月もかかることがある。

肝膿瘍を合併することがあり、免疫不全の人や、免疫能力の落ちた高齢者では、重症化して麻痺や脊髄障害に至るものもある。

検査
猫をはじめとした動物との接触歴のある患者で、リンパ節の腫脹に圧痛や熱感を伴う場合には、本症を疑う。ただし、動物の飼育歴が明らかでない患者も少なからずいるため、βラクタム系抗菌薬が無効であるリンパ節炎では、本症も視野に入れて検査・治療を進める必要がある。

血液検査
白血球増加、CRP上昇などの炎症反応がみられることがあるが、必須ではない。AST、ALT、LDHなどの肝逸脱酵素の上昇がみられることもある。
画像検査
超音波検査、CT、MRIなどの画像検査で、腫脹しているのがリンパ節であることを確認できる。また、リンパ節膿瘍の形成も画像検査により検出できる。
血清診断
抗B.henselae IgGおよびIgM抗体価を測定する。IgM抗体陽性、またはペア血清(原則としては2週間隔で、2回血清を採取して抗体価を測定する)でIgGの4倍以上の上昇、あるいはIgGがワンポイントで256倍または512倍以上のときに、本症と診断できる。ただし、抗B.henselae抗体価の測定は国内では(商業ベースでは)行われていないため、結果が出るまでに2週間ほどかかる。

治療
マクロライド系抗生物質が一般的に用いられる。テトラサイクリン系抗生剤であるミノサイクリンも有効であるが、永久歯が生えていない年齢の小児には慎重に用いなければならない(副作用として、歯牙の着色を来たす可能性がある)。

膿瘍を形成している場合には、膿瘍を穿刺または切開して排膿させる必要がある場合もある。また、血液検査などで診断が困難であった場合にも、膿瘍から採取された膿からB.henselaeが検出されて診断が確定することもある。

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2007/04/15 14:19 | 病気 症状対策

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