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2025/05/15 02:03 |
ツヤクワガタ
昆虫綱甲虫目クワガタムシ科に属する分類群。コツヤクワガタの一部も含まれる。背中の模様が色彩的であり、人気がある。

分布東南アジア島嶼部が中心。特にスマトラ島に多い。前翅は全部または縁のみ黄色や淡色になったり、頭部の中央が赤や黄色に色づくものがあるが、全身黒色の種も存在する。現地の採集情報に詳しい、むし社の小林によると、ツヤクワガタは全身黒色のものに昼行性が多く、鞘翅に淡色部分を持つものに夜行性が多いと言う不思議な現象がある。

個体変異オスの大アゴの変異は、小型個体から大型個体にかけて、もっとも短い大アゴの原歯型、中間型の両歯型、もっとも長い大アゴの先歯型と言う区分が古くからある。 これに似た個体変異を示す種は、日本ではマルバネクワガタとノコギリクワガタが知られる。原歯型は鋸歯のみがある鋏の様な小さく短い大アゴ、先歯型は、主に大アゴの先端に内歯や鋸歯が集中する長大で湾曲した大アゴ、両歯型は両者の中間型で、中くらいの長さの大アゴの先端と中間以下に内歯や鋸歯がある。

分子系統樹の位置ツヤクワガタの仲間は、近縁のマルバネクワガタとともに、九大大学院の荒谷助教授が発表した属間分子系統樹によると、ノコギリクワガタ・オオクワガタなどの祖先型にあたり、これらの種のオスの個体変異の原始的な姿をとどめる種である可能性が高い。

過去の研究ツヤクワガタはアローを始め、多数の西洋人によって標本の研究がなされた種群であるが、1980年代に台湾で現地のオニツヤクワガタの累代飼育を行って月間むしに飼育記録を発表した小島啓史によって、大アゴの発現型は前蛹の時期の温度によって変化すると言う新知見が得られている。オニツヤクワガタでは、23-25℃で原歯型・20-23℃で両歯型・16-20℃で先歯型が得られるとされる。小林は豊富な現地採集経験から、原歯型から両歯型は平地でも見られるが、先歯型は高標高地(冷涼な森林)でないと見られない種が多いとして、この説に賛同している。また台湾産クワガタの研究で有名な境野宏行によると、オニツヤクワガタなどには、両歯型より大アゴをのぞく体格が小さい先歯型や、原歯型より小さい両歯型が存在すると言い、これを逆転現象と呼んでいる。

上記の3つの観察例から、オスの大アゴの変異は、成長期の栄養条件のみならず、環境温度に左右される可能性が示唆される。さらに「カブトムシと進化論」の著者河野和男は、ツヤクワガタのオスの体長と後翅に正比例の関係がない事を紹介している。河野と小島はこれらの情報を元に、先歯型を定置性の高い繁殖拠点防御型、原歯型以下のオスとメスを移動に適した分布域拡大型ではないかと述べている。なお、河野は当初ツヤクワガタのオスの型変異を遺伝子起源による発現型であるという仮説を述べていたが、小島が一つがいのクワガタから、全ての発現型の子が得られる事を繰り返し発表したため自説を引っ込め、現在ではこれらの種群のオスの個体変異は後天的な要因によるものとする説が一般的である。

飼育幼虫の飼育には使い古した発酵済みマットに菌糸カス(菌糸ビン使用後の中身)を混ぜるか、腐葉土や発酵マットなど窒素分豊富な餌を使用する。幼虫は自然界では、しばしば他のクワガタの穿孔痕に侵入している。また幼虫は腐植土中に閉じた空洞の縄張りを設ける性質があるが、激しい共食いの性質もある。小島はNHKのTV番組サイエンスゼロで台湾産オニツヤクワガタとカブトムシの幼虫の同居実験を公開し、国内最強と思われたカブトムシの幼虫がオニツヤクワガタの幼虫に補食された可能性を示している。しかしツヤクワガタの幼虫は耐寒性が弱く、白色腐朽材を直接餌にする事はできないため、日本国内で競合するのは、カブトムシ・ヤンバルテナガコガネ・マルバネクワガタ類など、沖縄の希少種である可能性が高い。

この様に、ツヤクワガタのオスには、体長に比例しない極端な個体変異が見られ、大型種では、最大個体が10cmを越えるものも何種か存在する。また他種競合性が成虫のみならず、幼虫でも大変高いことから、放虫や遺棄による原産地以外での野生化は絶対避けなければならない種群であると言えよう。

フェモラリスツヤクワガタ Odontolabis femoralis
後翅は全体が黄色く、足は鮮やかな赤色をしているため、アカアシオニツヤクワガタともいう。頭部の中央も赤みを帯びる。
原名亜種 O.f.femoralis - マレー半島・スマトラ島に生息する。
O.f.waterstradti - カリマンタン島に生息する。
O.f.palawanicus - パラワン島に生息する。
リュートネルツヤクワガタ Odontlabis leuthneri
カリマンタン島に生息する。弧を描くような細かい内歯がただ並ぶ。
スティーブンスツヤクワガタ Odontlabis stevensi
根元で横に分かれた後は直線的に伸び、内歯はない。前翅の淵が黄色くなる。
原名亜種 O.s.stevensi - スラウェシ島北部に生息する。
O.s.limbata - スラウェシ島中部に生息する。
O.s.yasusukei - スラウェシ島西南部に生息する。
O.s.mamaesaensis - スラウェシ島南部に生息する。
O.s.duivenbodei - サンギール諸島に生息する。背中の中央が赤くなる。
ゾンメルツヤクワガタ Odontolabis sommeri
原名亜種 O.s.sommeri - スマトラ島・カリマンタン島に生息する。
O.s.pahangensis - マレー半島に生息する。
O.s.lowei - カリマンタン島に生息する。
ラコダールツヤクワガタ Odontolabis lacordairei
スマトラ島に生息する。前翅は工合部を除いて全体が黄色に、頭部も比較的広く逆三角形状に黄色くなる。腹側にも黄色い模様がある。
スペクタビリスツヤクワガタ Odontolabis spectabilis
スマトラ島西部に生息する。前種によく似ているが、腹側の黄色い模様が目立たないことで区別する。
ルデキンツヤクワガタ Odontolabis ludekingi
スマトラ島に生息する。大アゴが太く、湾曲が強い。前翅の模様は斜めに入る。頭部がざらざらとしている。
アルケスツヤクワガタ Odontolabis alces
ルソン島・ミンダナオ島周辺に生息する。模様はなく、全身黒色。
ダールマンツヤクワガタ Odontolabis dalmanni
前翅に体毛を有し、茶色がかかる。
原名亜種 O.d.dalmanni - インドシナ半島・マレー半島・スマトラ島・カリマンタン島・ラウト島・カリマタ島・ナツナ諸島・タレンパ島に生息する。
O.d.gracilis - ニアス島に生息する。
インターメディアツヤクワガタ O.d.intermedia - パラワン島・ネグロス島・パナイ島・シベルト島に生息する。独立種とすることもある。
O.d.simeuluensis - シムルエ島に生息する。
O.d.batuensis - バツ諸島に生息する。
O.d.subita - メンタウェイ諸島に生息する
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2007/06/29 13:01 | 未分類

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