バキュームフォームキット
熱したプラスチック板を型に当て、下方から真空吸引(個人レベルでは電気掃除機を使用する)して型に密着させて成形する手法で製作されたキット。
メタルキット
ホワイトメタルと呼ばれる、錫を主体とした低融点の合金を型に流し込んで作られるキット。金属を素材としているので接着と塗装が難しい。熱により型が消耗するため大量生産には向かない。
いわゆる「鉛の兵隊」とはホワイトメタル製の兵隊人形のことである。
レジンキャストキット
無発泡ウレタン樹脂をシリコーン型に流し込んで生産するキット。現在ガレージキットと言えばほとんどがこの種類を指す。
尚、プラキャストという呼称は本来は商品名である。
ソフトビニールキット
軟質樹脂を金型に流しこんで生産するキット。成形される樹脂の素材がソフトビニール(ポリ塩化ビニル)のためこう呼ばれる。かつては玩具として非常に多くの製品が流通していた。大量生産に向くが、専用設備と専門技術が必要。有機的な表現が可能なため怪獣やアニメフィギュアなどの造形に向くが、ロボットやメカなどの精密な模型も可能。
素材の特質から通常の模型用塗料の定着が悪く、年月の経過と共に素材から揮発する溶剤分で塗膜が溶出する、高い温度の環境に置くと変形する、直射日光の紫外線で変質する等、経時変化に弱い。
日本はプラスチックモデルが第二次世界大戦後、造形技術がある程度成熟してから流入したために中小模型メーカーの商品であってもインジェクションキットが一般的だが、欧米では採算の取れそうもないマイナーなアイテムをバキュームフォームキットとして製作、販売するメーカーが存在していた。インジェクションキットは金型に巨額の設備投資を要するため、家庭用の掃除機でも製作可能なバキュームフォームキットは少数生産には向いた製法であった。1960年代から70年代までのガレージキットはバキュームフォームや、ペーパークラフトをプラスチック板に転写したものが一般的であった。
模型市場が拡大してくると、大手模型メーカーにより生産、販売される商品に対する不満を感じたユーザーなどによって、個人製作のガレージキットが製作された。ここでいう不満とは、精密さ・再現度・表現力などの質的な面とラインナップの不足などの量的な面である。またそれには知名度や人気の低い作品への愛着やマニアから高い評価を受けたデザイナーのデザインの立体化など、ファンとしての心理が働くことも多い。当初は、バキュームフォームキットであり、大まかな形だけを成形したものが多く、精密さや再現度は組み立てるモデラーの技術に依存していた。また細かな部品はバキュームフォームでは成形できないためメタルキャストといった技術が使われており、完成させるにはかなりの技術を要した。ホビージャパン1979年8月号において歯科用レジンを用いて複製された1/35ロビー・ザ・ロボットが発表されたのが日本における個人の製作したガレージキットの走りと言われている。1980年代初頭にはゼネラルプロダクツ(現ガイナックス)が設立され、バキュームフォームとホワイトメタルのガレージキットを数多く販売している。シリコーンゴムとレジンによってより精密で丈夫な複製が可能であることが広まると、絶版キットの複製や破損、紛失パーツの複製が行なわれるようになった。と同時に改造したパーツの合成樹脂による複製が可能となり、模型誌に発表されるプロモデラーの作品の複製を欲する動きが出始めた。そのため日本におけるガレージキットは著名な原型師の作品の複製であるという認識も根強くある。
レジンは接着が難しいなどの難点はあったが表面のディテールや細かなモールドも再現可能であったため完全な自作の原型を樹脂で複製したガレージキットが登場するにいたった。これらは主にSF映画などのキャラクター製作に用いられ、完成度の高さから急速に広まっていった。日本でも80年代中頃から模型誌によって複製技術が紹介され始め、土筆レジン(ニッシリ)のプラキャストなどの複製素材が販売されるようになった。特にブームによりパーツの改造が一般化したガンプラでは複製技術は渇望されるものとなった。バンダイはB-CLUBというブランドを立ち上げ改造パーツや映像媒体を持たないガンダムシリーズの立体作品をリリースし始める。同名の模型誌も創刊されガレージキットの知名度、認知度は高まっていった。
一部のマニアの物であったガレージキットが一気にその市場を広げたのは、1990年代後半の『新世紀エヴァンゲリオン』の社会的ブームにおいてであった。同作は放送時に大手玩具・模型メーカーからの製品化が行われず(後にエヴァのプラモデルを発売したバンダイも放映前に持ち込まれた商品化の話を一度断っており、後年に「最大の失態」と評されている)、また前述のゼネラルプロダクツを前身とするガイナックスの製作作品だったためにガレージキット化最大の障害である版権許諾が比較的容易であった事などから、ガレージキットを中心にキャラクター商品展開が行われる形となった。本編の人気と共に、同作の立体物を作りたいという原型師・メーカー側と買いたいというユーザー側との欲求の一致によって、ガレージキットの歴史における一大ムーブメントと化していった。90年代後半のワンダーフェスティバルはほとんどエヴァ一色と化しており、その光景が当時のエヴァブーム報道において取り上げられた事が、一般におけるガレージキットやワンフェスの知名度を大きく押し上げる事となった。またガレージキットでありながら大手の大量生産品に迫る販売数が出た事から、塗装済み完成品フィギュアなどのマスプロ指向の製品がガレージキットメーカーからも発売される契機となった。
現在では市場が拡大し、少量多品種のキットを専門に製造するメーカーも登場した。また、大手メーカーが大量生産・大量販売をするほどのマーケットがないと判断した場合に、ガレージキットと同様の手法で商品を生産する場合もある。従って、なにをもってガレージキットと呼ぶのかという定義はかなりあやふやなものとなりつつある。個人やきわめて小規模なメーカーが少量生産し販売するものを狭義のガレージキットとし、それを越える規模のメーカーが販売するものは生産手法を問わず含めない、とする考え方もある(それらについては、生産手法に基づいて「レジンキャストキット」「エッチングキット」などと呼ばれる場合がある)。また一般向けの販売を目的としていない非商業的なものも、ガレージキットの範疇に含まれる。
分野としては、自動車・航空機・鉄道車両・船舶・兵器・宇宙船などの乗り物・機械類のほか、アニメーション作品や映画、実在の俳優などを含む各種キャラクターのフィギュア(人形)などがある。
また、ガレージキットの場合、そのキット商品のひとつで完結することを目指さない場合も珍しくはない。たとえば大量生産・大量販売されているキットの不満な点を改善するための部品セット、といった商品もある。そういった位置づけのガレージキットでは、マスプロ生産されるキットをベースとしたり、機能部品をマスプロ商品から流用したりすることが広く行われている。
熱したプラスチック板を型に当て、下方から真空吸引(個人レベルでは電気掃除機を使用する)して型に密着させて成形する手法で製作されたキット。
メタルキット
ホワイトメタルと呼ばれる、錫を主体とした低融点の合金を型に流し込んで作られるキット。金属を素材としているので接着と塗装が難しい。熱により型が消耗するため大量生産には向かない。
いわゆる「鉛の兵隊」とはホワイトメタル製の兵隊人形のことである。
レジンキャストキット
無発泡ウレタン樹脂をシリコーン型に流し込んで生産するキット。現在ガレージキットと言えばほとんどがこの種類を指す。
尚、プラキャストという呼称は本来は商品名である。
ソフトビニールキット
軟質樹脂を金型に流しこんで生産するキット。成形される樹脂の素材がソフトビニール(ポリ塩化ビニル)のためこう呼ばれる。かつては玩具として非常に多くの製品が流通していた。大量生産に向くが、専用設備と専門技術が必要。有機的な表現が可能なため怪獣やアニメフィギュアなどの造形に向くが、ロボットやメカなどの精密な模型も可能。
素材の特質から通常の模型用塗料の定着が悪く、年月の経過と共に素材から揮発する溶剤分で塗膜が溶出する、高い温度の環境に置くと変形する、直射日光の紫外線で変質する等、経時変化に弱い。
日本はプラスチックモデルが第二次世界大戦後、造形技術がある程度成熟してから流入したために中小模型メーカーの商品であってもインジェクションキットが一般的だが、欧米では採算の取れそうもないマイナーなアイテムをバキュームフォームキットとして製作、販売するメーカーが存在していた。インジェクションキットは金型に巨額の設備投資を要するため、家庭用の掃除機でも製作可能なバキュームフォームキットは少数生産には向いた製法であった。1960年代から70年代までのガレージキットはバキュームフォームや、ペーパークラフトをプラスチック板に転写したものが一般的であった。
模型市場が拡大してくると、大手模型メーカーにより生産、販売される商品に対する不満を感じたユーザーなどによって、個人製作のガレージキットが製作された。ここでいう不満とは、精密さ・再現度・表現力などの質的な面とラインナップの不足などの量的な面である。またそれには知名度や人気の低い作品への愛着やマニアから高い評価を受けたデザイナーのデザインの立体化など、ファンとしての心理が働くことも多い。当初は、バキュームフォームキットであり、大まかな形だけを成形したものが多く、精密さや再現度は組み立てるモデラーの技術に依存していた。また細かな部品はバキュームフォームでは成形できないためメタルキャストといった技術が使われており、完成させるにはかなりの技術を要した。ホビージャパン1979年8月号において歯科用レジンを用いて複製された1/35ロビー・ザ・ロボットが発表されたのが日本における個人の製作したガレージキットの走りと言われている。1980年代初頭にはゼネラルプロダクツ(現ガイナックス)が設立され、バキュームフォームとホワイトメタルのガレージキットを数多く販売している。シリコーンゴムとレジンによってより精密で丈夫な複製が可能であることが広まると、絶版キットの複製や破損、紛失パーツの複製が行なわれるようになった。と同時に改造したパーツの合成樹脂による複製が可能となり、模型誌に発表されるプロモデラーの作品の複製を欲する動きが出始めた。そのため日本におけるガレージキットは著名な原型師の作品の複製であるという認識も根強くある。
レジンは接着が難しいなどの難点はあったが表面のディテールや細かなモールドも再現可能であったため完全な自作の原型を樹脂で複製したガレージキットが登場するにいたった。これらは主にSF映画などのキャラクター製作に用いられ、完成度の高さから急速に広まっていった。日本でも80年代中頃から模型誌によって複製技術が紹介され始め、土筆レジン(ニッシリ)のプラキャストなどの複製素材が販売されるようになった。特にブームによりパーツの改造が一般化したガンプラでは複製技術は渇望されるものとなった。バンダイはB-CLUBというブランドを立ち上げ改造パーツや映像媒体を持たないガンダムシリーズの立体作品をリリースし始める。同名の模型誌も創刊されガレージキットの知名度、認知度は高まっていった。
一部のマニアの物であったガレージキットが一気にその市場を広げたのは、1990年代後半の『新世紀エヴァンゲリオン』の社会的ブームにおいてであった。同作は放送時に大手玩具・模型メーカーからの製品化が行われず(後にエヴァのプラモデルを発売したバンダイも放映前に持ち込まれた商品化の話を一度断っており、後年に「最大の失態」と評されている)、また前述のゼネラルプロダクツを前身とするガイナックスの製作作品だったためにガレージキット化最大の障害である版権許諾が比較的容易であった事などから、ガレージキットを中心にキャラクター商品展開が行われる形となった。本編の人気と共に、同作の立体物を作りたいという原型師・メーカー側と買いたいというユーザー側との欲求の一致によって、ガレージキットの歴史における一大ムーブメントと化していった。90年代後半のワンダーフェスティバルはほとんどエヴァ一色と化しており、その光景が当時のエヴァブーム報道において取り上げられた事が、一般におけるガレージキットやワンフェスの知名度を大きく押し上げる事となった。またガレージキットでありながら大手の大量生産品に迫る販売数が出た事から、塗装済み完成品フィギュアなどのマスプロ指向の製品がガレージキットメーカーからも発売される契機となった。
現在では市場が拡大し、少量多品種のキットを専門に製造するメーカーも登場した。また、大手メーカーが大量生産・大量販売をするほどのマーケットがないと判断した場合に、ガレージキットと同様の手法で商品を生産する場合もある。従って、なにをもってガレージキットと呼ぶのかという定義はかなりあやふやなものとなりつつある。個人やきわめて小規模なメーカーが少量生産し販売するものを狭義のガレージキットとし、それを越える規模のメーカーが販売するものは生産手法を問わず含めない、とする考え方もある(それらについては、生産手法に基づいて「レジンキャストキット」「エッチングキット」などと呼ばれる場合がある)。また一般向けの販売を目的としていない非商業的なものも、ガレージキットの範疇に含まれる。
分野としては、自動車・航空機・鉄道車両・船舶・兵器・宇宙船などの乗り物・機械類のほか、アニメーション作品や映画、実在の俳優などを含む各種キャラクターのフィギュア(人形)などがある。
また、ガレージキットの場合、そのキット商品のひとつで完結することを目指さない場合も珍しくはない。たとえば大量生産・大量販売されているキットの不満な点を改善するための部品セット、といった商品もある。そういった位置づけのガレージキットでは、マスプロ生産されるキットをベースとしたり、機能部品をマスプロ商品から流用したりすることが広く行われている。
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