厚生労働省の労災認定基準では、脳血管疾患及び虚血性心疾患等を取り扱っている。仕事との因果関係の立証が難しいため、脳・心臓疾患の労災認定申請のうち、過労死 と認められるのは一割程度である。2001年12月の認定基準の改正で発症前6か月間の長期間にわたる疲労の蓄積も考慮されるようになった。うつ病による過労死も労災として認められるようになった。
裁判
過労死を巡る裁判としては刑事、行政、民事の3種類がある。
刑事裁判
労働基準法では、法定労働時間を1日につき8時間、1週につき40時間と定め、これを超える場合には労使協定を締結することを義務づけており、この上限時間も原則1年間につき360時間と定めているが(労働基準法第32条、平成10年労働省告示第154号)、過労死に至るケースの場合、これらの時間を大幅に上回る時間外労働を行っており、労働基準法第32条違反、また、これらの時間外労働に対して正当な割増賃金(通常の賃金の25%増し)が支払われていないケースがほとんどであり、同法第37条違反として労働基準監督署が事業主を送検するケースがみられる。ただし、労働基準法第32条違反は最高で罰金30万円、同法第37条違反は最高で懲役6ヵ月又は罰金30万円と定められており、罪状に見合った刑罰の重さとなっていないとの批判が、主に労働者団体等から唱えられている。
行政裁判
過労死が起こった場合、遺族はこの死亡が業務に起因するものであるとして労働基準監督署に労災補償給付を求めて申請を行うが、上記のように申請すべてについて労災認定が行われるものではないことから、労働基準監督署長が不認定の処分を下した場合、遺族は都道府県労働局に置かれる労働者災害補償保険審査官(労災審査官)に対して審査請求を行う。労災審査官が労働基準監督署長の処分を妥当と認めた場合(不認定相当とした場合)は、遺族は厚生労働大臣所轄の労働保険審査会に対して再審査の請求を行うことができる。
なお、労災審査官に審査請求を行ってから3ヵ月以内に審査請求に対する決定がなされない場合、遺族は労災審査官の決定を待たずして労働保険審査会に再審査請求を行うことができる(労働者災害補償保険法第38条第2項)。
再審査請求に対する決定でも労働基準監督署長の不認定相当とされた場合、遺族は労働基準監督署長を被告として、行政処分(=労災不認定処分)の取り消しを求めて行政訴訟を起こすこととなる。ただし、この場合も、労働保険審査会に再審査請求を行ってから3ヵ月以内に裁決がない場合などは、再審査を待たずに行政訴訟を起こすことができる(同法第40条)。
この行政訴訟は地方裁判所に提起するものであることから、労災の認定に関しては「六審制」が採られているといえる(労働基準監督署長→労災審査官→労働保険審査会→地方裁判所→高等裁判所→最高裁判所)。
ちなみに、労働事件が先例として判決集に登載される場合は、被告の会社名が事件名となるが(例:「○○コーポレーション事件」)、労災不認定取消請求事件の場合は労働基準監督署長が被告となるため、過労死の起こった会社を併記するのが通例である(例:「○○労働基準監督署長(△△産業)事件」)。
民事裁判
過労死が起こった場合、企業が管理責任を怠ったとして裁判が起こることはつきものであるが、過労死の多くは勤務中に死に至るのではなく、激務な仕事をやめ一ヶ月〜数ヵ月後に死に至るケースが多く、また、脳・心臓疾患は日常生活の習慣(高血圧気味であった、肥満気味であった、等)が過労により増悪することにより引き起こされることも多く、企業側は因果関係がないと主張する為、長期化することが多い。

裁判
過労死を巡る裁判としては刑事、行政、民事の3種類がある。
刑事裁判
労働基準法では、法定労働時間を1日につき8時間、1週につき40時間と定め、これを超える場合には労使協定を締結することを義務づけており、この上限時間も原則1年間につき360時間と定めているが(労働基準法第32条、平成10年労働省告示第154号)、過労死に至るケースの場合、これらの時間を大幅に上回る時間外労働を行っており、労働基準法第32条違反、また、これらの時間外労働に対して正当な割増賃金(通常の賃金の25%増し)が支払われていないケースがほとんどであり、同法第37条違反として労働基準監督署が事業主を送検するケースがみられる。ただし、労働基準法第32条違反は最高で罰金30万円、同法第37条違反は最高で懲役6ヵ月又は罰金30万円と定められており、罪状に見合った刑罰の重さとなっていないとの批判が、主に労働者団体等から唱えられている。
行政裁判
過労死が起こった場合、遺族はこの死亡が業務に起因するものであるとして労働基準監督署に労災補償給付を求めて申請を行うが、上記のように申請すべてについて労災認定が行われるものではないことから、労働基準監督署長が不認定の処分を下した場合、遺族は都道府県労働局に置かれる労働者災害補償保険審査官(労災審査官)に対して審査請求を行う。労災審査官が労働基準監督署長の処分を妥当と認めた場合(不認定相当とした場合)は、遺族は厚生労働大臣所轄の労働保険審査会に対して再審査の請求を行うことができる。
なお、労災審査官に審査請求を行ってから3ヵ月以内に審査請求に対する決定がなされない場合、遺族は労災審査官の決定を待たずして労働保険審査会に再審査請求を行うことができる(労働者災害補償保険法第38条第2項)。
再審査請求に対する決定でも労働基準監督署長の不認定相当とされた場合、遺族は労働基準監督署長を被告として、行政処分(=労災不認定処分)の取り消しを求めて行政訴訟を起こすこととなる。ただし、この場合も、労働保険審査会に再審査請求を行ってから3ヵ月以内に裁決がない場合などは、再審査を待たずに行政訴訟を起こすことができる(同法第40条)。
この行政訴訟は地方裁判所に提起するものであることから、労災の認定に関しては「六審制」が採られているといえる(労働基準監督署長→労災審査官→労働保険審査会→地方裁判所→高等裁判所→最高裁判所)。
ちなみに、労働事件が先例として判決集に登載される場合は、被告の会社名が事件名となるが(例:「○○コーポレーション事件」)、労災不認定取消請求事件の場合は労働基準監督署長が被告となるため、過労死の起こった会社を併記するのが通例である(例:「○○労働基準監督署長(△△産業)事件」)。
民事裁判
過労死が起こった場合、企業が管理責任を怠ったとして裁判が起こることはつきものであるが、過労死の多くは勤務中に死に至るのではなく、激務な仕事をやめ一ヶ月〜数ヵ月後に死に至るケースが多く、また、脳・心臓疾患は日常生活の習慣(高血圧気味であった、肥満気味であった、等)が過労により増悪することにより引き起こされることも多く、企業側は因果関係がないと主張する為、長期化することが多い。
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